耐震等級3の住宅で地震対策!その強さとメリットを紹介
地震が頻発する日本において、住宅の耐震性は家族の安全を守るために欠かせない要素です。
その耐震性の指標として用いられる耐震等級3は最も高い基準を誇り、防災拠点である警察署や消防署など重要な施設にも適用される耐震性能を住宅にも実現します。
耐震等級3の家は、震度7クラスの大地震にも耐えることができ、過去の地震でもその効果が証明されています。
例えば、2016年の熊本地震では、耐震等級3の住宅がほとんど損傷を受けず、多くの家が被害が少なく済んだ実例があります。
このように、耐震等級3の家を建てることは、将来の安心を手に入れるための重要な選択肢です。
この記事では、耐震等級3の家が持つメリットと実際に地震に耐えた実例を詳しく解説します。
大切な家族を守り、将来の地震に備えるための知識を身につけ、最善の選択をするための参考にしてください。
目次
耐震等級とは?その基準と重要性を徹底解説
耐震等級とは、建物の耐震性能を評価する基準で、1~3までの等級に分類されます。
耐震等級が高いほど、地震に対する強度が優れており、安心して住み続けることができます。
特に、近年は地震リスクの高まりから耐震等級3の重要性が注目されています。
耐震等級の理解は、地震対策として非常に重要です。
耐震等級1~3の違いと特徴
・耐震等級1
これは建築基準法に基づいた最低限の耐震性能です。
震度6強から7程度の大地震でも建物が倒壊しない水準とされていますが、損傷が発生する可能性があり、修繕が必要になる場合があります。
一般的な住宅はこの水準に達していますが、十分な耐震性を保証するものではなく、地震後に修理が必要となるケースも多く見られます。
・耐震等級2
耐震等級1の1.25倍の耐震性能を持つ等級です。
これは、学校や病院、避難所など、公共施設に求められる基準であり、災害時にも安全性が高いとされています。
長期優良住宅としての要件にもこの等級が必要で、強い地震でも建物が損傷を受けにくい設計となっています。
また、住宅だけでなく、公共の場で人々が安全に過ごせる場所を提供するために必要な耐震性能を示しています。
・耐震等級3
耐震等級1の1.5倍の耐震性能を持ち、最も高い耐震性能を誇ります。
これは、警察署や消防署など、災害時に拠点として重要な役割を果たす施設に求められる基準です。
この基準を満たした住宅は、震度7の大地震にも耐えられるとされ、実際に2016年の熊本地震でも、耐震等級3の住宅は損傷が少なく、多くの家が被害が少なく済んだ実例があります。
この性能は、地震発生後も安心して居住を続けることができる大きな利点です。
耐震等級と建築基準法の関係
建築基準法では、すべての建物が耐震等級1以上を満たすことが義務付けられています。
これは、震度6強~7程度の地震でも倒壊しないことが求められる最低基準です。
しかし、耐震等級1はあくまで「倒壊しない」レベルであり、損傷を防ぐことは保証されていません。
耐震等級2や3は、さらに厳しい条件をクリアする必要があり、特に等級3は災害後の生活を維持できるレベルの耐震性能を持ちます。
建築基準法で定められている以上の耐震性能を持つことは、災害時の安全性を高めるとともに、住宅の価値向上にもつながります。
また、耐震等級を取得することで地震保険の割引が適用されるなど、経済的なメリットもあります。
耐震等級3の家が地震に強い理由
耐震等級3は、住宅の耐震性能を表す等級の中で最も高い基準です。
これは、地震による倒壊や損傷を極力防ぐ設計で、警察署や消防署など重要な施設に求められる水準と同等の耐震性能を持っています。
住宅においても、耐震等級3の基準を満たすことで、家族や資産を守る安全性が格段に高まります。
実例から見る耐震等級3の効果
耐震等級3の効果は、過去の地震の実例からもはっきりと確認されています。
2016年の熊本地震では、震度7の揺れが2度にわたって発生しましたが、耐震等級3の住宅の約90%は被害が少なく、残りの10%も軽微な損傷にとどまっており、全壊や半壊の例は確認されていません。
この結果は、耐震等級3の設計が一般住宅においても非常に有効であることを示しています。
また、耐震等級3は建物が震度7クラスの地震にも複数回耐えることができる設計であるため、余震が続く災害時にも安心して住み続けることが可能です。
耐震等級3の家を建てるメリットとデメリット
耐震等級3は、住宅の耐震性能を示す中で最も高い基準です。
これを満たす家を建てることには多くのメリットがありますが、同時にいくつかのデメリットも存在します。ここでは、それぞれの側面を詳しく解説します。
メリット:地震保険の割引や住宅ローン優遇
・地震保険の割引
耐震等級3の住宅では、地震保険の保険料が一般的に約50%割引されます。
これは、耐震性能が高いため、保険会社にとっても損害リスクが低いと判断されるからです。
耐震等級1での割引率は10%程度、等級2で30%程度なので、等級3の家に住むことで長期的に大幅な保険料削減が期待できます。
・住宅ローンの優遇措置
耐震等級3の住宅は、住宅ローン金利の優遇を受けられることがあります。
例えば、政府の「フラット35S」では、耐震等級3の住宅が金利Aプランの適用対象となり、通常よりも0.5%金利が引き下げられます。
この優遇措置により、総返済額が大きく抑えられるケースも多いです。
※数値はおおよその目安となっております。
詳しくは各問い合わせ窓口等でご確認下さい。
・資産価値の向上
耐震等級3の住宅は、売却時に高く評価されやすくなります。
耐震性が高い家は、地震後も良好な状態を保つ可能性が高いため、購入希望者にとって安心できる選択肢となります。
デメリット:建築費用や間取りの制約
・建築コストの上昇
耐震等級3を取得するためには、構造の強化が必要です。
耐力壁の増設や基礎の強化、耐震金物の追加などにより、建築費用が約140万~230万円程度増加する可能性があります。
これに加え、住宅性能評価機関への申請費用も必要です。
・間取りやデザインの制約
耐震等級3の要件を満たすためには、耐力壁や柱の配置が重要で、これが間取りの自由度を制限することがあります。
特に広いリビングや大きな窓を希望する場合、耐力壁を増やす必要が生じるため、設計に工夫が求められます。
ただし、設計力のあるハウスメーカー等なら、耐震性とデザイン性の両立が可能な場合もあります。
耐震等級3相当と耐震等級3の違いとは?
耐震等級3は、日本で最も高い耐震基準で、地震に対して非常に強い建物を示す等級です。
しかし「耐震等級3相当」という表現をよく耳にしますが、この2つには重要な違いがあります。
ここでは、耐震等級3と耐震等級3相当の違いと、それに伴うメリット・デメリットについて解説します。
認定の有無がもたらす影響
耐震等級3は、国や住宅性能評価機関が正式に認定した住宅の耐震性を示します。
耐震等級3を取得するには、構造計算や設計を厳密に審査し、必要な耐震基準を満たしていることが確認されます。
この公式な認定を受けることで、住宅の耐震性能が保証され、地震保険の割引や住宅ローンの優遇措置を受けることが可能です。
一方で、耐震等級3相当とは、設計や施工が耐震等級3に準じて行われたことを指すものの、公式な認定は受けていない状態です。
そのため、実際に耐震等級3の基準を満たしているかどうかは保証されず、耐震性能が正確に確認されていない可能性があります。
この場合、地震保険の割引や住宅ローンの優遇を受けられない点が大きなデメリットとなります。
耐震等級3相当の注意点とリスク
耐震等級3相当の住宅は、認定を受けないことでコストを削減できるという利点があります。
正式な審査が不要なため、設計費や審査費用が抑えられることがその理由です。
しかし、認定がないために地震保険料の割引や金利優遇措置を受けられない点は、長期的なコストに影響を及ぼします。
さらに、耐震性能が保証されていないため、実際に大きな地震が発生した際に、本当に等級3相当の耐震性を発揮できるかが不明確です。
万が一、基準に満たない設計や施工が行われていた場合、損傷リスクが高まり、修繕費用が大きくなる可能性があります。
耐震等級3を取得するための具体的な手順と費用
耐震等級3を取得するには、認定のプロセスや費用について理解しておくことが重要です。
ここでは、認定の流れとその費用について詳しく解説します。
認定取得の流れと必要な手続き
1.構造計算の実施
耐震等級3を取得するためには、まず専門的な構造計算が必要です。
これは、建物が耐震基準を満たしているかどうかを確認するための重要なステップです。
許容応力度計算と呼ばれる計算方法が一般的に使用され、これに基づいて建物の設計が進められます。
2.住宅性能評価機関への申請
次に、建物が耐震等級3を満たしているかどうかを確認するために、第三者の住宅性能評価機関に申請を行います。
申請には、設計図書や構造計算書などの書類が必要です。
評価機関は、書類の審査に加え、実際に現場での確認も行い、適切に施工されていることを確認します。
このプロセスの中で「設計性能評価書」と「建設性能評価書」が発行されます。
3.認定証の交付
審査が完了すると、住宅性能評価書が発行され、正式に耐震等級3の認定が下ります。
この評価書は、地震保険や住宅ローンの優遇を受けるために必要な証明書となり、資産価値の向上にもつながります。
耐震等級3の認定にかかる費用
耐震等級3を取得するための費用は、以下のように分かれています。
・構造計算費用
建物の耐震性能を計算するための構造計算費用は、おおよそ20万~40万円が相場です。
この計算により、建物が設計段階で耐震等級3を満たしているか確認されます。
・申請費用
住宅性能評価機関への申請費用は、10万~40万円ほどかかります。
これは、評価機関が書類審査および現場検査を行うための費用です。
・施工費用
耐震等級3を取得するためには、壁や柱、梁などの強化が必要になるため、建設費用が増加します。
耐震等級1から3にグレードアップするための補強費用は、約120万~200万円が一般的です。
地震に強い家づくりのために押さえておきたいポイント
地震の多い日本では、住宅の耐震性は非常に重要です。
特に耐震等級3の家を建てるためには、建物の設計と施工において、耐震性能を最大限に高めるためのいくつかのポイントをしっかりと押さえる必要があります。
ここでは、耐震性に大きく関わる「耐力壁」と「施工品質」の重要性について解説します。
耐力壁や建物重量の重要性
耐力壁は、建物の構造の中で地震や風などの横からの力に対抗する重要な要素です。
特に耐震等級3を満たすためには、必要な耐力壁の量が多くなります。
等級1に比べ、耐震等級3では約1.86倍程度の壁量が必要とされており、耐力壁の配置バランスも考慮しなければ、地震時に一部の壁に過度な負担がかかり、建物が損傷するリスクが高まります。
また、建物の重量も耐震性に大きく影響します。
軽量な建物の方が地震による揺れ幅が小さく、耐力壁への負担が減少します。
例えば、軽い屋根材を使用することで、建物全体の耐震性が向上することが知られています。
さらに、上下階の壁や柱の位置が揃った「総二階」構造は、地震エネルギーをバランスよく分散できるため、耐震性が高い設計とされています。
施工品質が耐震性に与える影響
どれだけ設計が優れていても、施工品質が不十分では本来の耐震性を発揮できません。
施工時の品質管理は、耐震等級3の住宅において特に重要です。
例えば、接合金物の取り付けが不適切であれば、地震の揺れによって接合部分がゆるんだり抜けたりして、建物の強度が大幅に低下します。
また、耐力壁だけでなく、床や基礎の強度も重要です。
壁が強くても、床が弱ければ、建物全体の耐震性は低下します。
そのため、床の強度を確認する「床倍率」などの検査も行われ、必要に応じて床を補強することが推奨されています。
まとめ
耐震等級3の住宅は、日本で最も高い耐震性能を誇り、大規模な地震に対しても優れた安全性を持つ建物です。
この等級は、警察署や消防署と同じレベルの耐震基準をクリアしており、地震発生時の被害を最小限に抑えることができます。
また、耐震等級3を取得することで、地震保険の割引や住宅ローンの優遇など、経済的なメリットも大きいです。
一方で、耐震等級3を取得するためには、適切な設計と施工が必要不可欠です。
耐力壁の配置や接合部の強度、建物全体のバランスが鍵となり、これらがしっかりしていないと、期待される耐震性能を発揮できません。
そのため、建物を設計・施工する段階で、信頼できる施工会社と密に連携することが重要です。
最終的に、耐震等級3の家を建てることで、地震に対する安心感と資産価値の維持が期待できます。
家族の安全と将来の安心を考えるなら、耐震等級3の家づくりは非常に価値のある選択肢です。
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経歴
建築設計事務所にて中高層建築物を中心とした企画・設計・監理に従事。
2005年以降は不動産開発デベロッパーでマンションの企画開発を中心に、仕入・販売の活動を行う。
その後、確認検査機関にて営業戦略の策定、支店開設を行い、執行役員を経て検NET株式会社を立ち上げ、代表取締役就任。
一般社団法人全国住宅技術品質協会理事。