ホームインスペクション(住宅診断)の費用相場はどれくらい?メリットや負担者について解説!
不動産の売却や購入する際に欠かせない要素として注目を浴びているのが「ホームインスペクション(住宅診断)」です。
しかし、初めて不動産の売却や購入を検討する方にとっては、ホームインスペクション(住宅診断)の費用相場や実施までの流れ、費用の負担は誰になるのかなどの詳細が分からないこともあるかもしれません。
そこで今回の記事では、ホームインスペクション(住宅診断)の費用相場や実施までの流れ、費用の負担に関して詳しく解説していきます。
この記事の要約
- ホームインスペクション(住宅診断)の費用相場は戸建基本調査で5万円から7万円程度
- マンションの基本調査は4万円から6万円程度
- 基本調査の場合、所要時間は3.5時間程度
- オプション込みの場合、所要時間は6.5時間程度
- 費用の負担は一般的に買主負担が多い
目次
ホームインスペクションとは
ホームインスペクションとは、建物検査員が公平かつ中立的な立場から住宅の状態を評価するための調査です。この調査では、建物の基礎や外壁などに、ひび割れや雨漏りなどの不具合がないか目視や機器を使用して確認します。
また、国の基準に従い、建物の安全性や品質に関する情報も収集します。
検査結果は報告書として提供され、住宅の所有者や関係者に対して提案や修繕の必要性を示すものとなります。
ホームインスペクション(住宅診断)は、建物の状態を客観的に評価するための重要な手段であり、建物の保全や安全性の確保に貢献しています。
ホームインスペクションの費用相場
ホームインスペクションの費用は検査する対象箇所の面積・地域によっても変わってきます。
一戸建住宅とマンションンそれぞれを見ていきましょう。
一戸建ての場合
前述の通り、費用相場は一概には言えませんが、一般的に費用相場は基本調査で5万円から7万円程度といわれています。
物件の広さや築年数・特別な調査が必要な場合に追加費用が発生することがあります。
例えば、古い物件や大規模な改築が行われた物件は通常よりも高額になる可能性が高いです。
また、床下や小屋裏への進入調査を希望する場合も追加費用が発生するでしょう。
例えば、基本調査では点検口からの目視のみですが、床下・小屋裏を隅々まで調査したい場合は基本料金に追加で3万円程度の費用が掛かります。
マンションの場合
マンションの場合、一般的な費用相場は基本調査で4万円から6万円程度とされています。
ただし、これは標準的な面積のマンションに対しての平均的な価格であり、広い面積のマンションや特殊な構造を持つ物件の場合は追加で費用がかかる場合があります。
費用の内訳や追加費用は?
基本調査の費用相場は上記のようになっていますが、別途費用が発生する場合がございます。ホームインスペクションの費用内訳と別途費用は以下のようになります。
・基本料金
ホームインスペクションの基本料金は、検査の全体的な費用をカバーしています。
これには、専門家による現地調査や報告書の作成などが含まれます。
基本料金は、物件の規模やタイプ、地域によって異なることがあります。
・特殊な検査や追加サービスの料金
ホームインスペクションには、特殊な検査や追加のサービスが必要な場合があります。
例えば、床下や小屋裏への進入調査や、設備機器が正常に稼働するかの検査などがこれにあたります。
これらの特殊な要件や追加のサービスには別途費用がかかることがありますので、お申込みの際には基本検査の中にどこまでの検査が含まれているのか、実施したい検査ができるかどうかは入念に確認をしましょう。
・交通費や宿泊費
ホームインスペクションが行われる物件までの交通費や宿泊費などの経費が発生する場合があります。
特に遠方の物件や複数の場所での検査が必要な場合には、関連費用がかかることがあります。
以上がホームインスペクションの費用の内訳と別途費用の一般的な例です。
具体的な料金は、サービス提供業者や地域によって異なる場合がありますので、見積もりの際などに確認しましょう。
検NET(株)では下記のような料金体系となっております。
ご参考にご覧ください。
(すべて税込み表記です。)
一戸建 | ~165㎡未満 | ¥49,500 |
~330㎡未満 | ¥53,900 | |
マンション | ~75㎡未満 | ¥44,000 |
~150㎡未満 | ¥48,400 |
▼中古の場合
一戸建 | ~165㎡未満 | ¥36,300 |
~330㎡未満 | ¥38,500 | |
マンション | ~100㎡未満 | ¥34,100 |
~150㎡未満 | ¥36,300 |
このほか、実施したい検査のオプションにより費用は変動いたします。
新築の場合のオプション費用はこちら
中古の場合のオプション費用はこちら
ホームインスペクションの効果(メリット)とは?
ここではホームインスペクションの主な効果を4つご紹介します。
・安心感を提供し、購入者にとって重要な情報を提供する
・健全な住環境の確保に貢献し、住宅の品質や快適性を向上させる
・将来の問題を予防することで、大きなトラブルを未然に防ぐことができる
・投資価値を確保し、将来的な再販時に信頼性と競争力を持つことができる
・瑕疵担保保険の付保要件を一つ満たせる
安心感を提供し、購入者にとって重要な情報を提供する
ホームインスペクションは、購入を検討している住宅の問題点や将来的なリスクを客観的に評価することで、購入者に安心感を提供します。
検査結果に基づいた情報を受け取ることで、購入者は適切な価格交渉や修繕計画を立てることができ、将来的なトラブルを予防することができます。
健全な住環境の確保に貢献し、住宅の品質や快適性を向上させる
ホームインスペクションにより、給排水設備、暖房・冷房システムや電気設備など住宅の機能性を点検することにより、健全な住環境の確保に貢献します。住宅の品質や快適性が評価されることで、住み心地の良い環境を実現することができます。
将来の問題を予防することで、大きなトラブルを未然に防ぐことができる
ホームインスペクションによって潜在的な欠陥や劣化箇所を早期に発見し、適切な対策や修繕を行うことができます。これにより、将来的な大きなトラブルを未然に防ぐことができます。例えば、シロアリやカビの被害、結露による劣化、屋根や外壁の漏水などを事前に把握することができます。
投資価値を確保し、将来的な再販時に信頼性と競争力を持つことができる
ホームインスペクションによって住宅の状態や修繕の必要性が明確化されることで、購入者は投資価値を確保することができます。また、検査済みの住宅は信頼性が高まり、将来的な再販時に競争力を持つことができます。
ホームインスペクションによって、購入や所有する住宅のリスクを最小限に抑え、安心して暮らすことができるのです。
瑕疵担保保険の付保要件を一つ満たせる
瑕疵担保保険とは、住宅の瑕疵(欠陥)に対して、住宅事業者(売主)が負う瑕疵担保責任を補償する保険です。
住宅の瑕疵とは、構造上の欠陥、シロアリ被害、雨漏り、設備の故障など、住宅の価値を下げるさまざまな欠陥を指します。
瑕疵担保保険は、買主が加入することも可能ですが、一般的には、住宅事業者(売主)が加入します。
瑕疵担保保険に付保することで、住宅の瑕疵が発生した場合に、保険金で補修費用を賄うことができます。
保険金の支払い対象となる費用は、主に以下のとおりです。
・瑕疵の補修に要する直接費用
・瑕疵の調査費用
・仮住まいや転居に要する費用
瑕疵担保保険は、住宅購入者にとって、住宅の瑕疵に備えるための重要な保険です。
また、住宅事業者にとって、瑕疵担保責任を補償することで、住宅事業者の倒産や瑕疵担保責任の履行不能を防止することができるメリットがあります。
この瑕疵担保保険加入には、以下2つの要件を満たす必要があります。
・新耐震基準に適合している建物であること
・ホームインスペクションに合格している建物であること
昭和56年(1981年)6月1日以降の耐震基準である新耐震基準を満たしており、ホームインスペクション(実施後1年を経過していないものに限る)に合格していることが要件となります。
一般的な瑕疵担保保険の相場は以下のようになっています。
戸建て
保険期間 |
保険金額 |
床面積/保険料 |
|||
100㎡未満 |
100㎡以上 |
125㎡以上 |
150㎡以上 |
||
1年 |
500万円 |
26,100 |
27,600 |
31,500 |
37,800 |
1年 |
1,000万円 |
26,700 |
28,200 |
32,500 |
39,200 |
2年 |
500万円 |
30,000 |
32,100 |
37,500 |
46,700 |
2年 |
1,000万円 |
30,800 |
33,100 |
39,000 |
48,800 |
5年 |
1,000万円 |
40,900 |
45,800 |
57,500 |
75,400 |
共同住宅
保険期間 |
保険金額 |
床面積/保険料 |
||||
55㎡未満 |
55㎡以上 |
70㎡以上 |
85㎡以上 |
100㎡以上 |
||
1年 |
500万円 |
19,800 |
22,100 |
23,700 |
25,600 |
29,600 |
1年 |
1,000万円 |
20,200 |
22,500 |
24,300 |
26,300 |
30,700 |
2年 |
500万円 |
22,400 |
25,500 |
27,900 |
30,600 |
36,100 |
2年 |
1,000万円 |
22,900 |
26,200 |
28,900 |
31,700 |
37,800 |
5年 |
1,000万円 |
30,400 |
36,100 |
40,900 |
45,500 |
56,500 |
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新築と中古のホームインスペクションの必要性を解説! 新築住宅と中古住宅では異なる要素がありますが、どちらの場合でもホームインスペクションのメリットや適切なタイミングについて詳しくご紹介します。
ホームインスペクションの隠れたリスク(デメリット)
ホームインスペクションには多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
・時間と費用が掛かる
・インスペクションでも見えない部分はある
時間と費用が掛かる
ホームインスペクションは専門的な検査を行うため一度の検査で数時間から数日かかることもあります。
また、物件の規模や検査項目に合わせて費用も相応にかかってきますので、予想外の出費とならないよう注意が必要です。
インスペクションを行っても見えない部分がある
ホームインスペクションは、目視及び計測等による非破壊検査になります。床や壁をはがして調査することまでは求められていないため、必ずしもすべての不具合を発見できるというわけではありません。
例えば、床下や小屋裏は点検口を目視できる範囲で調査を行いますが、物件によっては床下や小屋裏の点検口が設置されていないことがあります。
その場合は十分な検査が行えず、住み始めてから不具合が発覚したという事例もあります。
購入前に十分な検査を行えず、物件に対して少しでも不安が残るような場合には、購入について検討しなおすことも有効な手段といえるでしょう。
ホームインスペクションの依頼から実施までの流れ
ここからは実際にホームインスペクションを行うにあたり、依頼から実施までの流れ、所要時間、依頼するタイミングなどをご説明していきます。
ホームインスペクションの流れ
ホームインスペクションを依頼してから実施までの一般的な流れは以下になります。①依頼の相談と見積の確認
ホームインスペクションを実施したい物件について専門業者に相談します。物件の情報や希望するサービス内容を伝え、見積を作成してもらいます。
②スケジュール調整
検査内容などが決まりましたらスケジュールの調整を行います。直近での依頼は希望が通らない可能性もあるので早めに連絡することが重要です。
③検査の実施
検査日に、ホームインスペクションの専門家が現地に訪れます。専門家は目視や機器を使用して建物や設備を詳細に調査します。
内部や外部の状態、構造や設備の機能、潜在的な問題箇所などを確認します。検査当日には玄関扉の解錠のため、売主または仲介業者の立ち合いが必要な場合があります。
④検査結果の報告
検査後、専門家は検査結果を報告書としてまとめます。報告書には、検査で見つかった問題箇所やリスク、必要な修繕や改善の提案などが記載されます。
報告書は通常、数日から数週間の間に提供されます。
⑤解説と相談
報告書の提供後、専門家は依頼主に報告書の内容を解説し、疑問や質問に答えます。
報告書の内容や提案について相談することで、依頼主はより具体的な対策や修繕計画を立てることができます。
検査のタイミングと所要時間
ここからは検査を申し込むタイミングや検査の所要時間を説明します。
申し込むタイミングを把握しておけば余裕をもって検査を実施できますので参考にしてください。
検査のタイミングは新築なら引渡日より2週間以上前に実施するのがおすすめです。
工務店等の売主に補修を行ってもらえる場合の期間を確保する為です。
中古の場合、売買契約の前でも可能です。
補修期間を含めてお引き渡しの1カ月以上前が理想のタイミングです。
新築やリノベーション後の竣工検査の所要時間は一戸建てやマンション、住宅の広さ、オプション検査の内容によって異なりますが、戸建て、マンションの基本検査のみで3.5時間程度になります。
オプションにより6.5時間程度と認識しておきましょう。
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インスペクションを行う最適なタイミングはいつなのでしょうか?この記事では、購入前、引渡し前、入居前などの異なるタイミングでのインスペクションのメリットについて解説します。自分に合ったタイミングを選ぶことで、新築住宅のトラブルを最小限に抑えることができます。
ホームインスペクション費用の支払い方法とタイミング
ホームインスペクションの費用の支払い方法とタイミングについて説明します。
一般的に、ホームインスペクションの費用の支払い方法としてはクレジットカードや銀行振り込みがよく利用されます。
支払いタイミングについては、業者によって異なります。ホームインスペクションの検査の前に全額または一部の支払いが必要になる場合があります。
これは前払いと呼ばれる方法です。
一方、検査が完了した後に請求書が送付され、指定の期間内に支払うという後払いの方法を採用している場合もあります。
依頼する際には注意事項の確認や業者とのコミュニケーションを重視し、支払い方法やタイミングについて明確な合意を得ることが重要です。
業者によっては保証金の支払いを要求する場合もありますので、条件を理解しておく必要があります。
ホームインスペクションの費用の支払い方法とタイミングは、各業者によって異なるので、依頼する前にしっかりと確認し、納得のいく費用支払いプランを選択しましょう。
費用の負担は誰になる?
ホームインスペクションの費用負担については特別な決まりはありません。一般的には買主が費用を負担することが多いです。つまり、住宅を購入する人が検査を依頼し、その検査費用を支払います。
ただし、一部の場合では売主が自発的にホームインスペクションを実施し、買い手に対して安心感を提供するために検査結果を提供することがあります。その場合、売主が費用を負担することもあります。
ホームインスペクションの費用に関するよくある質問
ホームインスペクションの費用相場は?
戸建住宅の場合は約5万円~7万円程度でマンションは4万円~6万円程度が費用相場となっています。
検NETの費用は下記のようになっています。
新築戸建の場合 49,500円~
新築マンションの場合 44,000円~
中古戸建の場合 36,300円~
中古マンションの場合 34,100円~
ホームインスペクションの所要時間は?
基本検査のみで約3.5時間程度です。
別途オプションが加わると約6.5時間程度が所要時間です。
ホームインスペクションの費用は誰が負担する?
ホームインスペクションの費用は行う側が費用を負担します。
一般的には住宅を購入する人(買主)が費用を負担することが多いですが、売主が物件の売却を考慮して行うこともございます。
追加で費用は掛かるの?
特別な検査が必要な場合にオプション費用として追加で料金がかかる可能性があります。
また、検査を行う物件の場所によっては遠方費用が掛かる場合があります。
ホームインスペクションの依頼から実施までの流れは?
まずは専門業者にご相談と見積の作成を行いましょう。
検査内容が決まり次第、日程の調整を行い検査実施となります。
検査結果の報告書は数日後の提供になることが多いので検査の日程には十分注意しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。ホームインスペクションの費用相場や負担が誰になるのかなどをご紹介しました。
ホームインスペクションの費用は、一般的には買主が負担することが多いですが、不動産会社のサービスとして負担される場合もあります。
費用相場は検査対象の物件の面積や地域によって異なります。一般的な費用相場としては、一戸建ての場合は基本調査で5万円から7万円程度、マンションの場合は基本調査で4万円から6万円程度と言われています。ただし、これはあくまで一般的な目安であり、具体的な料金は業者や地域によって異なる場合がありますので、見積もりを依頼して確認することが重要です。
特殊な検査や追加サービスが必要な場合や遠方の物件で検査が行われる場合には、追加の費用が発生することがあります。不動産売却を検討される際には、専門家や業者との相談を通じて詳細な費用や負担について確認することをおすすめします。
検NETが選ばれる理由
検NETは、「建物調査業務」「雨漏調査業務」「リフォーム工事」の3つを柱に、ホームインスペクションから住宅履歴情報サービスの無料発行、建物に関わる法務相談、さらには検査に関するシステムの企画・開発まで、ワンストップで対応しています。
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検NET(株)の9.7万件以上の実績は技術だけではなく、質の高い検査員教育の継続の賜物であり、検NET(株)の強みでもあります。
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https://ken-net.co.jp/company.html
経歴
建築設計事務所にて中高層建築物を中心とした企画・設計・監理に従事。
2005年以降は不動産開発デベロッパーでマンションの企画開発を中心に、仕入・販売の活動を行う。
その後、確認検査機関にて営業戦略の策定、支店開設を行い、執行役員を経て検NET株式会社を立ち上げ、代表取締役就任。
一般社団法人全国住宅技術品質協会理事。